「調理場の意外なお客たち・招かざる訪問者」

飼育課:尾曽 芳之

 "調理場"その場所は、当園内では、ちょうどオオカミ舎の裏にあり、通常は一般公開されていない施設です。そこでは、毎日飼育係員が、それぞれ担当する動物たちのエサを包丁や野菜カッターなどを使い、野菜や肉を調理しています。その作業は、午前中に行われ、昼頃には人の出入りが少なくなります。すると、あるお客たちがやって来ます。そのお客たちは調理場に食事に来るのです。
 まずは、ドバト。彼らは野菜クズだけではなく、調理前の野菜にも手(嘴)を出すため、毎回追い払っていたので、最近はめったに現れません。
 次ぎに、キジバト。彼らは春から秋までの間に現れ、いつも仲良く2羽でやって来ます。
 そして、ハクセキレイ。彼らは冬だけ現れ、3月になるといなくなります。彼らは野菜クズが目当てではなく、調理場内で解凍しているオキアミを食べに来ているのです。オキアミは動物園ではサギ類やフラミンゴに与えるエサとして使っているのですが、凍っているため解凍しています。それを一匹ずつくわえ出て、外で食べているのです。2羽で現れることが多く、1羽が見張り、もう1羽がオキアミを取りに入ったりします。日暮れまでいることもあり、戸締まりでシャッターを下ろして調理場に閉じ込めてしまい、慌てて開けてやることもあります。
 最後は、スズメ。彼らは年中やってきます。多数で現れるのが、巣立った若鳥を連れた家族スズメ。若鳥を2、3羽連れて調理場内で食事して、人が現れると親鳥だけが脱出。若鳥は室内をバタバタと「パニック状態」なんてこともよくあります。彼らは野菜クズからオキアミまで、何でもよく食べます。若鳥にエサを与える姿はほほえましく、ついつい見とれてしまいそうになる、可愛い招かざる訪問者たちです。