バードウオッチングあれこれ

榊原 安昭
大阪市役所 健康福祉局 西保健センター


 がバードウォッチングを始めたのは大学の野鳥の会に入会したのがきっかけですので、振り返ってみると30年近く前のことになります。当時はまだバードウォッチングという言葉はもとより、野鳥を見に行くことは一般に普及していませんでした。海辺の鳥を見に行ったときなど、長靴を履き、望遠鏡を肩に担いで歩いていると、工事の関係者に間違われたり、工事の関係者が望遠鏡を覗きにきて、測量用のトランシットと比べてられたりしたこともありました。毎年淀川の「鳥飼大橋」から「枚方大橋」でシギ・チドリ類のカウントを行っていたのですが、駅から淀川までタクシーに乗ると、運転手さんから「釣りですか?」と聞かれたものでした。最近では「バードウォッチングですか?」と聞かれるほど一般に普及するようになりました。

 野鳥を見に行く場所も現在では各地に野鳥公園ができ観察小屋や解説パネルが整備されていますが、昔は長靴をはいて工事現場をうろうろするようなことが多かったものです。今はりっぱな施設ができている南港の野鳥園も私がバードウォッチングを始めたころは海の中、埋め立て造成中の干潟には今より多くのシギ、チドリ類が飛来しました。また、今は住宅や倉庫が建っている場所もまだ広い草原で、冬には5から6羽のコミミズクが飛び出したことを鮮明に覚えています。

 卒業後は野鳥の会の事務局のお手伝いをし、探鳥会にも時々参加していましたが、動物園に勤務するようになってからは、土日が出勤のため、野鳥の会の探鳥会に行くことはほとんどできなくなりました。3年前に保健所(現保健センター)に転勤となり、時々、探鳥会に顔を出すようになりました。昔に比べると人数の多いこと、双眼鏡や望遠鏡、ビデオカメラなど装備がりっぱになったことに驚かされます。

 バードウォッチングの楽しみ方にもいろいろありますが、何も遠くに出かけるばかりが能ではありません。身近なフィールドを持つことが大切です。動物園に勤務している時は園内の動物の見まわりの際に野鳥観察を楽しむことができました。けっこういろいろな野鳥が都市公園にもいるものです。

 一年中見られるのは、スズメ、ヒヨドリ、アオサギ、コサギ、ゴイサギ、キジバトなどの留鳥で、そんなに多くはありません。餌の少ない冬は多くの野鳥が里に降りてきますし、木々の葉も少ないので観察には好適です。動物園ではツグミやジョウビタキなどの冬鳥のほかシジュウカラやヤマガラメジロなどの野鳥が山から降りてきます。また、春と秋の渡りの時期には意外な野鳥を見ることができます。高地で繁殖するオオルリやキビタキなどを見ることがあります。夏は意外と野鳥が少なく、留鳥以外ではツバメぐらいしか見ることはできません。

 これからも身近な野鳥を楽しんでいきたいと思っています。

(さかきはら やすあき)


ゴイサギ

ヒヨドリ
天王寺公園の河底池ではよく見ます。 一年中見ることができます。

コサギ

オオルリ
ゴイサギとならんで河底池では普通です。
珍しそうですが。毎年1回は天王寺動物園に飛来します。

ジョウビダキ(♀)

ツグミ
冬には天王寺動物園にも毎日やってきます。 冬にはごく普通に見かけます。