ゾウの好き嫌い

飼育係 油家 謙二

皆さんに好きなものと、嫌いなものがあるように、ゾウにもやはり好きなものと嫌いなものがあります。
 まず、好きなものはエサ。与えたエサはよっぽどでないと残すことはありません。その中でも特に笹やカシの枝や葉等、たまにしかもらえないものだと喜んで食べるようです。それから、体をブラッシングしてもらうことも好きで、竹ボウキや熊手で体をこすってやると、自分から体のかゆい所を向けてきて、そこをこすれ、と要求してきたりします。また、夏場でしたら水浴びなんかも大変好きで、暑い日だと一日に何度も水をかぶります。
 逆に、嫌いなものを言いますと、騒音、特に低い音が嫌いなようで、毎週休園日にコアラ舎の自家発電機のモーター音が聞こえてくると、「フーフー」言って嫌がります。毎週月曜日の昼の1時前、と時間が決まっていてもどうも慣れないようです。最近は、すぐとなりで新ゾウ舎の建設工事が進んでおり、様々な騒音がして、それらの音には多少慣れたようなのですが、低くうなるモーター音だけは、どうもダメなようです。あと、もう一つ嫌いなのは、動物園内あちこちに居てるハトで、体の大きいゾウからすれば、自分のまわりをうろちょろして、横からエサを盗み喰いするハトはどうにもめざわりなようです。エサをもらう頃になると、どこからか現れておこぼれをちょうだいし。何度鼻で追い払ってもひつこく寄って来るのですから、無理もありません。
 お客さんの側からは見えないものですが、実はゾウの寝室の中には、ハトの巣がたくさんあり、多くのハトがゾウと一緒に暮らし?ています。そして、抜け落ちた羽や、フン等で室内を汚すので我々にとっても、ありがたくない存在です。
 皆さん、ハトにはエサを与えないようにしましょう。